代表的な呼吸器疾患

気管支喘息

気管支喘息とは

気管支喘息は、アレルギー物質を吸い込んだり、運動や天候の変化などによって気管支(気道)が狭まり、ゼーゼーという喘鳴が聞こえたり呼吸困難に陥ったり、咳が止まらないなど、様々な呼吸器の異常を伴う病気です。

症状

主な気管支喘息の症状は以下の通りです。

  • 息苦しさを感じたりや呼吸困難な状態にある
  • 息を吐く際にゼーゼー・ヒューヒューと喘鳴が出る
  • 特に夜間や早朝に多く咳が出る

原因

喘息は主にアレルギー反応によって起こります。気管支には外気から有害な物質が体内に入り込まないよう免疫細胞が集まっています。この免疫機能が何らかの原因で活性化し、気管支そのものを攻撃してしまうことで、喘息の発作が起こるとされています。
発作が起きると気管支の内側が狭くなり、それによって呼吸困難などの症状が現れます。

発作のきっかけになるアレルゲン

  • ダニ
  • ハウスダスト
  • ウイルス
  • 花粉
  • カビ
  • ペットの毛 など

発作のきっかけになる行動・要因

  • 運動
  • タバコ
  • ストレス
  • 汚れた空気
  • 気候や気温の変化

診断

ゼーゼーという喘鳴を起こす病気は喘息以外にも様々な可能性がありますので、医師の判断のもと総合的に診断をします。診断で喘息以外の可能性を除外しつつ、アレルギー歴や家族歴なども踏まえて総合的に判断します。
呼気一酸化窒素(NO)濃度やスパイロメトリーなどの検査の結果をもとに、診断を行います。

治療

気管支喘息の治療には、発作を起きにくくする発作予防薬と、発作が起きた際に症状を抑える発作治療薬の2種類があります。

発作予防薬

吸入ステロイドによって免疫機能の働きを抑制し、気管支収縮による喘息発作が起きないよう予防します。吸入ステロイドは30年ほど前から一般化し、これにより喘息死が劇的に減少しました。
ステロイド薬に不安がある方もいらっしゃると思いますが、飲むタイプのステロイド薬と違い、吸入タイプのステロイド薬は副作用がほとんど出ず、比較的安心してお使いいただけます。また、妊娠中の方でも使用可能です。効果を確認しながらまずは36か月程度使用することを推奨しています。

発作治療薬

発作が起きてしまった際には、発作治療薬によって呼吸困難や咳などの症状を抑制します。発作治療薬は吸入するタイプ(メプチンやサルタノールなど)になります。

禁煙のお勧め

現在は喘息で死亡する人はほとんどいません。
しかし、喫煙習慣をお持ちの方は、治療を行なっても吸入ステロイドの効果が低下したり、タバコの影響で慢性閉塞性肺疾患(COPD)を併発するなどして、肺機能が弱体化します。
喫煙習慣がある喘息患者さんは、是非一度禁煙をご検討ください。

詳しくはこちら

咳喘息

咳喘息とは、気管支が狭くなりゼーゼーいう喘鳴を起こす通常の喘息とは異なり、咳のみの状態です。慢性の咳の原因としては多い疾患です。
ただし、病気そのものは気管支喘息と同じものになりますので、治療内容も全く同じになります。

症状

咳喘息は、就寝前から明け方にかけて咳が悪化する傾向があります。布団に入ると咳が出ると訴える患者さんも多いです。特徴としては、痰をあまり伴わない乾いた咳が多く出ます。悪化する要因は様々で、風邪や会話によるもの、季節の変わり目や気圧の変化など気象によるもの、運動、花粉症や黄砂などが挙げられます。

診断

長期間咳が続いた状態で、吸入薬による効果が認められれば咳喘息である可能性が高くなりますが、肺がんや肺炎などの重篤な病気の可能性もゼロではないため、念のため胸部エックス線検査を行なっておくことをお勧めします。呼気一酸化窒素(NO)検査、スパイロメトリー検査などによる症状の数値化やグラフ化など、有用な検査も可能です。

治療

咳喘息の治療法は、気管支喘息と同様で吸入ステロイド薬や気管支拡張薬が中心になります。
その他、状況によっては抗アレルギー薬による治療を行うこともあります。
治療後は1週間程度で症状が改善する人が多いですが、気道の炎症がまだ残っているため、すぐに治療を中断するのではなく、36か月は治療を継続することをお勧めします。
また、治療の経過状況は、呼気NO検査やスパイロメトリー検査で確認することができます。
咳喘息患者さんの30%程度が、その後気管支喘息に移行するというデータもあるため、慎重に経過観察していくことが大切です。

詳しくはこちら

アトピー咳嗽(がいそう)

日本人の長引く咳の3大要因(気管支喘息・咳喘息・アトピー咳嗽)のうち、咳喘息とアトピー咳嗽の2種類はアレルギー性の咳症状に分類されます。

診断

咳が長引いた際、気管支を広げる薬を使用しても改善が見られず、また、元々アレルギー体質の方で、花粉症の飲み薬としても有名なヒスタミンH1受容体拮抗薬を使用することで症状が改善された場合は、アトピー咳嗽と診断できます。

治療

アトピー咳嗽は、気管支の表面が過敏になっていることで咳が出る状態です。そのため、治療には気管支の過敏な反応を抑制するヒスタミンH1受容体拮抗薬が有効です。
これにより症状が改善したら、一旦治療を中断し、その後の経過を観察します。

詳しくはこちら

肺炎

肺炎は、高齢者の死因で常に上位を占める病気です。軽症のまま治癒することもありますが、中には重篤化することもあるので注意が必要です。

症状

急激な発熱や咳、膿性痰などの症状を発症し、重篤化すると呼吸困難や血中酸素濃度の低下などを起こします。
新型コロナウイルス肺炎では、通常の肺炎と異なり膿性痰が出ずに、乾いた咳と呼吸困難によって血中酸素濃度が低下してもさほど苦しさを感じないことが話題となりました。

原因

これまでは細菌による感染が肺炎の原因の大多数を占めていましたが、近年では新型コロナウイルスの感染による肺炎が増加しています。

診断

肺炎の診察には画像検査が有効です。まずは胸部エックス線検査を行い、必要に応じて胸部CT検査を行います。CT検査は必要な場合は連携する医療機関をご紹介します。
また、喀痰検査を行い、細菌の種類を特定していきます。
採血での血液検査も併用し、体の炎症の状態や内臓の状態も確認します。

治療

原因が細菌による感染の場合は抗生物質を、ウイルスによる感染の場合は抗ウイルス薬を使用します。抗生物質は飲み薬と点滴の2種類がありますが、患者さんの状態をみてどちらを使用するか判断します。血中酸素濃度が低下して危険な状態の場合は、速やかに救急病院をご紹介し、入院手続きを取っていただきます。
また、風邪と肺炎は症状が似ているため、風邪であっても肺炎を危惧してご来院されるケースも多いです。その際はまず診察を行ない、胸部エックス線検査を行なって肺炎が確認されないことを丁寧にご説明いたします。

詳しくはこちら

慢性閉塞性肺疾患(COPD

肺気腫の原因の9割以上は、喫煙です。肺気腫は2030年には全世界の全死因の3位になるとも言われている病気です。

症状

慢性閉塞性肺疾患なると、歩く、階段の上り下り、布団の上げ下ろしなど日常的な行動で息切れを起こすようになります。
加齢による体力の低下と捉えずに、喫煙習慣のある方は一度検査することをお勧めします。

原因

肺気腫の原因の9割以上が喫煙によるものです。その他では、大気汚染などが原因の場合もありますが、このようなケースは稀で、ほとんどが喫煙習慣によるものです。

診断

肺気腫は、初期の段階では胸部エックス線では異常はみられません。
そのため、より詳細な検査として、胸部CT検査が必要です。胸部CT検査は、肺を輪切りにする撮影が可能なため、数mm単位で肺の状態が確認でき、肺気腫の状態を視認することが可能です。
胸部CT検査が必要な場合は連携する医療機関をご紹介します。
その他では、呼吸機能検査(息を強く吐く検査)によって肺気腫のランク分けを行い、軽症か重症かによって治療方針を決定していきます。

治療

肺気腫の改善で最も有効な手段は禁煙です。一度肺気腫と診断されると、肺が元の正常な状態に戻ることはありません。
しかし、仮に肺気腫と診断されても、その後禁煙をすることで将来的な病気の進行スピードを格段に落とすことができます。
主な治療法としては、まず第一に気管支拡張(抗コリン薬)の吸入を行います。
その後、重症度によっては、吸入ステロイドや在宅酸素療法の併用も検討します。

詳しくはこちら

肺結核

結核は過去の病気と思っている方も多いと思いますが、現在でも1年間に数人は結核と診断される患者さんがいらっしゃいます。
結核は、結核菌に感染することで起きる肺の病気で、人から人へと感染が拡大することでも有名です。

症状

肺結核は、初期段階では無症状な場合もあれば、咳が続く、体がだるいなど身体の不調が現れる場合も多いです。特段、肺結核の症状を特定できるようなものはありません。
急激に症状が現れることはなく、緩やかに症状が悪化していく傾向のある感染症です。

原因

肺結核は感染症なため、人から人へ空気感染して発症することが一般的ですが、中には過去に感染して自身の免疫で抑え込んでいたものが、長い潜伏期間ののち加齢による免疫低下によって再度活動を再開して発症するケースもあります。

診断

咳が長く続く患者さんは、結核の可能性も考慮して胸部エックス線検査や胸部CT検査が必要です。これらの詳細な検査によって、結核の影が見つかる場合もあります。もし結核の可能性がある場合は、痰の検査を複数回行います。痰が出ない患者さんの場合は、胃の中に柔らかいチューブを挿入して胃液を採取し、痰の検査の代わりに行うこともあります。また血液検査による結核検査も行います。
CT検査や気管支カメラを使って直接肺の中から痰を採取することが必要な場合は連携する医療機関をご紹介します。

治療

基本は内服薬での治療

以前は結核にかかると治療に23年間要していましたが、現在は通常の結核であれば内服薬での治療を6か月程度継続するだけで完治できます。

症状のある方は
一度検査を受けましょう

結核は初期に発見した場合は内服治療で後遺症もなく治癒ができます。しかし、発見が遅れて結核が進行してしまい、肺の中に感染が広がり空洞ができている場合は、治療後も空洞が残り後遺症に繋がります。過去には咳が1年以上続いた状態で診断した結果、結核と判明し、すでに大部分の肺がダメージを受けてしまっていたという症例もありました。
そのため、咳が続く、体がだるい、微熱があるといった患者さんは、結核も考慮して胸部エックス線検査を行うことをお勧めします。CT検査が必要な場合は連携する医療機関をご紹介します。

詳しくはこちら

肺非結核性抗酸菌症

肺非結核性抗酸菌症とは

肺非結核性抗酸菌症とは、結核と同類の菌が原因で起こる感染症です。結核の友達と表現されるように症状は似ていますが、人から人へ空気感染はしません。

日本では近年増加傾向にあります

肺非結核性抗酸菌症は日本では年間約8,000人が発症しており、特に中高年の女性に多くみられます。CT検査など診断の精度も向上したこともあり、ここ10年間では明らかに増加傾向にあります。

症状

初期段階ではほとんど自覚症状がありませんが、進行すると咳が出たり、喀痰が増えるといった症状が現れます。また、中には初期段階でも血痰や喀血を起こす患者さんもいらっしゃいます。
さらに病状が進行すると、羸痩(るいそう=やせること)を起こすケースもあります。

原因

なぜ中高年女性に多く発症するのか、発症する人としない人の違いは何か、原因は未だよく分かっていません。

診断

診断には、主に痰の培養検査を行います。また、通常の結核と同様、胸部エックス線検査も有効です。画像が結核と似ていることから、結核との違いを明確化することも重要になります。CT検査が必要な場合は連携する医療機関をご紹介します。

気管支のカメラ検査を
行うこともあります

痰の検査では原因が特定できない場合は、連携医療機関を紹介し気管支鏡(気管支のカメラ検査)による検査を行っていただくこともあります。

治療

治療は、複数の抗生剤を併用して内服していただきます。しかし軽症の場合は治療を開始する前に、まずは画像検査にて経過観察を行うことが推奨されています。
一方、進行が速い場合や、すでに肺の中に空洞が形成されて菌の繁殖の勢いが強いと判断された場合は、早期より治療を開始します。
治療期間は1年以上と長期に及ぶため、治療を行うかどうかの決定は慎重に行います。その際、早期の症例でも喀血するリスクがあることは事前に説明します。血痰が出た場合は、早期に受診されることをお勧めします。

間質性肺炎

間質性肺炎とは

間質性肺炎は一般的にあまり知られていない病気ですが、一定数の患者さんがいらっしゃいます。肺が細菌に感染することで起きる通常の肺炎とは異なり、自身の体に備わっている免疫機能が異常を起こし、自身の肺を攻撃してしまうことで肺が炎症を起こして線維化(硬くなる)を起こすことが特徴です。

症状

症状としては、歩行時や階段の上り下りの際の呼吸困難、乾いた咳などが起きます。

原因

主な間質性肺炎の原因は以下になります。

  • 明確な原因もない特発性のもの
  • リウマチなど免疫の病気を持つ方が二次的に起こす膠原病性のもの
  • 漢方薬や心臓の薬、抗がん剤などによる副作用として起こす薬剤性のもの
  • 喫煙により誘発されるもの など

診断

まずは胸部エックス線検査を行い、異常が見つかった際には胸部CT検査を行います。
問診により薬剤からの影響を確認し、血液検査によって間質性肺炎を発症すると上昇するKL-6SP-Dなどの数値や膠原病の可能性を確認します。
CT検査が必要な場合、気管支のカメラや手術など診断のための肺生検が必要な場合は連携する医療機関をご紹介します。

治療

原因が薬剤による副作用の場合は、治療は即刻中止します。体の状態や原因の種類によっては、抗線維化薬、免疫抑制薬、ステロイド薬の内服や点滴を行うこともあります。
体の酸素濃度(SpO2)の低下が確認された場合には、在宅酸素療法も行います。

肺がん

肺がんで亡くなる方と
喫煙によるリスク

がんは日本人の死因第一位の病気ですが、がんの中でも最も多いのが肺がんです。肺がんは50歳以上で急激に発症率が増加します。
肺がんを発症する危険因子の一つとされているのがタバコです。喫煙習慣のある人はない人に比べて、肺がんの発症率が男性で4.4倍、女性で2.8倍と高くなります。

症状

肺がんのみにみられる特有の症状はありませんが、一般的に咳、痰(血痰)、発熱、呼吸困難といった呼吸器症状が中心となります。また、これらの症状が現れた時にはすでに病気が進行してしまっていることも多いため、いかに早期発見するかが重要になります。

診断

肺がんの診断には、胸部エックス線検査や胸部CT検査といった画像検査が有効です。
CT検査が必要な場合は連携する医療機関をご紹介します。
これらの検査によって肺がんが疑われた場合は、より詳細に調べるために痰の細胞の検査や気管支のカメラ検査などが必要ですので、連携医療機関へご紹介します。

治療

早期に発見できた場合は、基本的には手術を行なって病変を切除します。体の状態等、何か患者さんが手術困難な状況の場合は、放射線治療や抗がん剤、分子標的治療、免疫チェックポイント阻害剤など手術以外の方法によって完治を目指します。

早期治療がカギ

肺がんを克服する上で最も重要なポイントは、いかに無症状のうちに早期発見・早期治療できるかです。
定期健診等で偶然肺がんが見つかり、早期に手術を行うことで肺がんを克服した患者さんを多く拝見しました。しかし、一方で自覚症状が出てから受診して肺がんが見つかり、すでに病状が進行してしまっていたために厳しい経過を辿った患者さんの方が多く見受けられるのが現状です。

毎年の検診、肺ドックでチェック

肺がんを早期発見する方法としては、毎年肺がん健診を受診することや人間ドックによる胸部エックス線検査はもとより、特に50歳以上の喫煙者は、胸部CT検査による肺ドッグ健診を一度受けてみることを推奨します。
これらの検査を行うと、肺がんの有無の確認と同時に、タバコによって肺がダメージを受けることで生じる肺気腫も確認できるため、禁煙に繋げることができます。
喫煙習慣の経験のある方は、ご自身とそのご家族のためにもぜひ一度肺の検診を行うことをご検討ください。

自然気胸

気胸とは

気胸とは、例えると肺がパンクした状態です。何らかの原因で肺がパンクを起こして空気が肺の外に漏れ出ると、その空気が骨や筋肉の壁によってそれ以上は排出されず、そのまま溜まって自身の肺そのものを圧迫し、呼吸困難を引き起こします。

症状

気胸を起こすと、呼吸困難を起こしたり、胸痛を感じることがあります。

原因

一般的に若いやせ型の男性に多く発症する傾向があり、肺の中にあるブラという小さな袋が、咳や気圧の変化などによって破裂することが原因と言われており、このような気胸を自然気胸と言います。なお、なぜ若いやせ型男性に多い傾向があるのかは、未だはっきりと分かっていません。
一方で、肺がんや間質性肺炎、肺気腫などの病気が進行することで、二次的に肺がパンクを起こしてしまう気胸を続発性気胸と言います。

診断

画像検査が最も有効です。胸部エックス線検査を行えば状態が診断でき、その後胸部CT検査によって、気胸を起こした原因や、もともとの肺のブラの有無、または肺がんなどの病気がないかを確認していきます。
CT検査が必要な場合は連携する医療機関をご紹介します。

治療

治療では、早期に肺の周囲に溜まった空気を排出することが重要です。空気が多く溜まって心臓を圧迫してしまう状況を緊張性気胸といい、緊張性気胸は心肺停止の恐れがありますので非常に危険な状態です。
胸にストローのような管を刺して脱気します。この脱気だけで改善することもありますが、その後も気胸を繰り返す場合は、手術による再発防止を試みます。なお、手術を行うと各段に再発率は低下します。

胸の痛みにはご注意を

胸痛で来られた患者さんに対しては、心筋梗塞や気胸の可能性も検討します。気胸の疑いがある場合は必ず胸部エックス線検査を行なって確認し、脱気が必要の際には、連携医療機関へ速やかにご紹介いたします。

花粉症・アレルギー性鼻炎

アレルギー性鼻炎の分類

アレルギー性鼻炎とは、アレルギー症状を引き起こす物質(アレルゲン)が体内に侵入することで、くしゃみ・鼻水・鼻づまりなどの症状を引き起こすアレルギー反応です。アレルギー性鼻炎には、以下の2種類が考えられます。

通年性アレルギー性鼻炎

通年生アレルギー性鼻炎は、ハウスダスト、ダニ、カビなどがアレルゲンのため、季節に関係なく一年中発症する鼻炎です。

季節性アレルギー性鼻炎

季節性アレルギー性鼻炎は一般的に花粉症と呼ばれるものです。春のスギ・ヒノキが代表的な例ですが、その他にもシラカンバ、ヨモギ、ブタクサなど春以外の季節に花粉症の原因となる花粉も存在します。

診断

血液検査を行なって、アレルギー体質の有無や、スギ・ヒノキなど個々のアレルゲンに対してアレルギーがあるかどうかを確認します。結果は採血後数日で分かります。

治療

治療は、症状に応じて内服薬、点眼薬、点鼻薬を行います。
近年の内服薬は、眠気などの副作用を抑えて効果が強いものも登場しております。
ダニやスギ花粉が原因と特定でき、これらの対症療法でも改善が見込めずに生活に支障をきたしている場合は、根本的にアレルギー体質を改善してアレルギー反応を起こしにくくするようにするための舌下免疫療法も検討します。舌下免疫療法は保険適応となっており、当院でも行うことが可能です。
なお、舌下免疫療法は70%程度の確率で効果が確認されておりますが、治療が開始できる時期に制限があります。

運動誘発喘息

運動誘発喘息とは

運動誘発喘息とは、激しい運動、長時間の運動によって気管支喘息の発作が誘発されるものです。なお、激しい運動には大笑い、はしゃぐなども含まれます。
中には喘息ではない方にも起こり、運動後に気管支が収縮する現象から運動誘発気管支攣縮と呼ばれることもあります。いずれも一般的にお子様に多いですが、大人でも発症する可能性があります。
発症のタイミングから、運動中や運動直後に起こるタイプを即時型、運動後612時間経ってから起こるタイプを遅発型と分類しています。特に後者の場合は運動後に時間が経過していることから、運動誘発喘息と気づきにくく、特に注意が必要になります。
遅発型は運動会など激しい運動を伴う行事の日にみられることが多く、その場合は運動会当日の夜間に症状が出現します。小児喘息の約半数が運動誘発喘息によるものというデータもあります。
また、トップアスリートとなるとさらに喘息有病率が高くなります。特に競泳はアスリート喘息の有病率が20%であるという報告もあり、主な原因としてプール内の塩素によって気道障害を起こしたり、長時間の激しい運動が関与しているという指摘もあります。また、寒気が影響する冬季スポーツのアスリートの方が、夏季スポーツのアスリートよりも有病率が高い傾向があります。

運動誘発喘息の原因

運動誘発喘息の主な原因は、運動をすることで呼吸回数が一時的に増加し、その結果、気管・気管支が冷やされて腫れ、気道が狭くなることが考えられています。
主な誘因としては、以下が考えられます。

  • 外気温
  • 湿度
  • 大気汚染
  • 花粉
  • プールやスケート場にある化学物質

運動誘発喘息の予防

運動誘発喘息は以下のような方法である程度、予防できます。

  1. 運動前に10分〜20分程度のウォーミングアップを行うことが最も有効です。
    運動誘発喘息は運動前に十分な準備運動を行うことで、1〜4時間の間は発作を起こさなくなることが知られております。
    ラジオ体操第一第二は7分程度で済み、ある程度効果が見込めますのでお勧めです。
  2. 寒冷の刺激が原因の場合もありますので、可能な限りマスクをして、気管支を冷やさないよう保温に努めることも効果的です。また、運動の際は鼻呼吸をお勧めします。
  3. 普段から喘息のケアを入念に行い、気道過敏性を抑えておくことも必要です。
    喘息のケアが良好であれば、運動誘発喘息の予防に繋がります。
  4. 運動15分前に短時間作用型β2刺激薬(サルタノール、メプチンエアーなど)を吸入することも効果的です。
  5. 運動15分前のDSCG(インタール)を吸入することも効果的です。
  6. 普段から適切な運動習慣を持つことも大切です。水泳が良いと言われておりますが、その他の運動でも問題ありませんので、運動習慣を心がけましょう。1日20分程度のウォーキングでも問題ありません。

運動誘発喘息の治療

発作が起きた際には、まずは安静にして腹式呼吸で呼吸を落ち着かせましょう。腹式呼吸は胸式呼吸よりも二酸化炭素の排出が適切に行えるため、効果的です。座位の姿勢を保ち、お腹に手を当ててお腹に力を入れながらゆっくりと息を吐きます。また、水を飲むと体内が加湿されるため効果的です。軽いものであればこれらの処置で症状が改善することがありますが、もし改善しない場合はサルタノール、メプチンエアーなどの気管支拡張薬を吸入して処置します。
なお、喘息の治療薬の中にはドーピング検査に引っかかるものもあります。アスリートで喘息の治療を行っている方は、必ず医師に投薬内容の相談をしておきましょう。

よくある質問

呼吸器疾患の早期発見のために家庭でできることは?

呼吸器疾患は早期に気づくことで、重症化を防ぎ生活の質を保つことが可能です。家庭でできる観察や習慣として、次の点が挙げられます。

  • 咳の持続期間や特徴を記録する
    風邪のあとも咳が長引く、夜間や早朝に咳が出やすいなど、パターンをメモしておくと診断の手がかりになります。
  • 痰の色や量をチェックする
    黄色や緑色の痰、血が混じる場合は注意が必要です。
  • 息切れや動悸の有無を意識する
    階段や坂道での息切れ、会話中に息が上がるなど、普段と違う体の反応を確認します。
  • 体温や全身症状の変化を観察する
    発熱、倦怠感、体重減少などがある場合は呼吸器だけでなく全身の病気の可能性もあります。
  • 喫煙や受動喫煙を避ける
    喫煙は多くの呼吸器疾患のリスクを高めます。家庭内でのタバコの煙にも注意しましょう。

家庭での観察を日々続けることで、早めの受診や検査につながり、重症化を防ぐことができます。

呼吸器疾患で気を付ける生活習慣は?

呼吸器疾患の予防や症状の悪化防止には、日常生活での習慣が大きく影響します。次のポイントを意識すると、呼吸器の健康を守ることができます。

  • 禁煙・受動喫煙の回避
    喫煙は慢性閉塞性肺疾患(COPD)や肺がんのリスクを高めます。家庭内でもタバコの煙を避けることが大切です。
  • 適度な運動を続ける
    ウォーキングや軽い体操で心肺機能を保つことが、息切れや呼吸器のトラブル予防につながります。
  • 栄養バランスの良い食事
    体の免疫力を維持するため、野菜・果物・良質なたんぱく質を取り入れましょう。
  • 十分な睡眠と休養
    疲労や睡眠不足は免疫力を低下させ、呼吸器感染症のリスクを高めます。
  • 感染症予防
    手洗いやうがい、必要に応じてインフルエンザや肺炎球菌ワクチンの接種を行うことで、呼吸器感染症を防ぎます。
  • 室内環境の管理
    換気や湿度管理、ほこりやカビの除去で呼吸器への刺激を減らすことができます。

これらの生活習慣を日々意識することが、呼吸器疾患の発症予防や症状悪化の防止につながります。

呼吸器感染症と慢性呼吸器疾患の違いは?

呼吸器の病気には大きく分けて一時的に起こる感染症長期間にわたって続く慢性疾患があります。それぞれ特徴が異なるため、区別することが重要です。

呼吸器感染症の特徴

  • 風邪やインフルエンザ、肺炎などが代表的
  • 発熱、のどの痛み、咳、痰、倦怠感などの症状が急に現れる
  • 通常は治療や休養により数日〜数週間で改善
  • 短期間で症状が改善するのが一般的

慢性呼吸器疾患の特徴

  • COPD(慢性閉塞性肺疾患)、喘息、間質性肺炎などが代表的
  • 咳や息切れが長期間続く
  • 症状は徐々に進行することが多く、日常生活に影響することもある
  • 完治は難しい場合もありますが、治療や生活習慣改善で症状の進行を抑えられる

ポイント

  • 短期間で改善する咳や発熱は感染症の可能性が高い
  • 8週間以上続く咳や慢性的な息切れは、慢性疾患を疑うサイン

気になる症状が続く場合は、早めに医療機関での評価が安心です。

呼吸器疾患の早期受診で得られるメリットは?

呼吸器疾患は、症状が軽くても早めに受診することで重症化を防ぎ、生活の質を保つことができます

  • 原因を特定できる
    咳や息切れの背景にある病気を早期に診断できます。
  • 適切な治療が受けられる
    薬物療法や生活習慣改善を早く始めることで、症状の進行を抑えられます。
  • 日常生活への影響を軽減できる
    息切れや咳の不快感を和らげ、仕事や家事への支障を減らせます。
  • 合併症や急な悪化を予防できる
    COPDや喘息など慢性疾患では、早期管理が重症化リスクの低下につながります。

症状が軽いからと自己判断せず、少しでも気になることがあれば早めの受診が安心です。

呼吸器疾患における検査の安全性は問題ないですか?

呼吸器疾患の診断に用いられる検査は、ほとんどが安全で体への負担が少ないものです。
主な検査と安全性のポイントは以下の通りです。

  • 胸部X線検査
    ごく少量の放射線を使用します。被曝量は日常生活で受ける自然放射線とほぼ同程度で安全です。
  • 呼吸機能検査(スパイロメトリー)
    息を吸って吐くだけの検査で、痛みや侵襲はありません。軽いめまいや息切れを感じることがありますが、医師の指導のもと行えば安心です。
  • 血液検査
    採血による負担のみで、通常は大きなリスクはありません。
  • 喀痰検査
    痰を採取するだけの簡単な検査で安全です。
  • CT検査や内視鏡検査(必要に応じて)
    放射線や侵襲を伴うため医師が適応を判断し、安全に配慮して行います。

まとめ

  • 多くの呼吸器検査は短時間・低侵襲・安全性が高いものです。
  • 症状に応じて必要な検査を選び、医師が安全に配慮して実施します。

不安がある場合は、事前に医師やスタッフに相談すると安心です。

呼吸リハビリはどの症状に効果がありますか?

呼吸リハビリ(呼吸リハビリテーション)は、慢性的な呼吸器疾患による息切れや体力低下を改善するための運動や呼吸法のプログラムです。
特に次のような症状に効果が期待できます。

  • 息切れが続く
    階段や坂道で息が上がりやすい方に、呼吸筋を鍛えて楽に呼吸できるようにします。
  • 慢性的な咳や痰がある
    正しい呼吸法や排痰の方法を学ぶことで、咳や痰を出しやすくします。
  • 体力・筋力の低下
    運動療法を取り入れることで日常生活の活動量が増え、疲れにくくなります。
  • 生活の質(QOL)の低下
    息苦しさや体力低下による日常生活の制限を軽減します。

呼吸リハビリは、薬物治療や生活習慣改善と組み合わせることで、より効果的に症状の改善が期待できます。

この記事の執筆者

医師 山本 真弓

略歴

2003年 昭和大学病院 第一内科
2007年 みなと赤十字病院
アレルギーセンター
2008年 ピッツバーグ大学 留学
2011年 昭和大学呼吸器アレルギー
内科
助教
2016年 昭和大学呼吸器アレルギー
内科
講師
2023年 昭和大学呼吸器アレルギー
内科
兼任講師
村元内科クリニック 勤務

資格

  • 医学博士
  • 日本内科学会 認定内科医、総合内科専門医、
    内科指導医
  • 日本呼吸器学会 呼吸器専門医・指導医
  • 日本アレルギー学会
    アレルギー専門医、
    指導医
  • 日本呼吸器内視鏡学会
    気管支鏡専門医・指導医
  • 日本喘息学会 喘息専門医
  • 難病指定医
  • 身体障害者福祉法第15条指定医
  • がん診療に携わる医師に対する
    緩和ケア研修会修了
  • 厚生労働省医師の臨床研修に係る
    指導医講習会修了
  • 産業医

その他、経歴

  • 日本アレルギー学会評議員
  • 東京都国民保険審査員

医師紹介はこちら